簡単な血液検査で、将来アルツハイマー病を発症するリスクを見分ける方法を筑波大学などの研究チームが開発しました。今後研究がさらに進む事で、アルツハイマー病の予防につながると期待されています。

"tsukuba"

約5ccの血液で検査が可能

筑波大学の内田和彦准教授らのグループは、2001年から65歳以上の高齢者約1,900人を対象に認知機能や血液の検査を行い、血液中に含まれるタンパク質を調べてきました。

アルツハイマー病は「アミロイドβペプチド」と呼ばれる特定の物質が脳内に蓄積されることで発症することが分かっていましたが、今回の研究では、脳内にある「補体タンパク質、 アポリポタンパク質、トランスサイレチン」と呼ばれる3つのタンパク質が、この「アミロイドβペプチド」を排除する機能を持っていることを発見しました。

この3つのタンパク質の量が少ないとアルツハイマー病を発症するリスクが高いということで、血液検査でタンパク質の量を調べることにより、約80%の精度でアルツハイマー病の発症リスクを見分ける方法を開発したと発表しています。

すでに今年の4月から、およそ400の医療機関において自由診療での実用化が始まっており、約5ccの血液で検査することができ、将来の発症を予測したり早い段階から治療を行うことができます。

血液検査が“アルツハイマー”リスクを判断

アミロイドβペプチドの排除や毒性防御に働くタンパク質が高齢者の認知機能低下の血液バイオマーカーになる