後期高齢者医療制度の支援金、総報酬割導入で負担増へ
2015年5月27日の参院本会議で、「医療保険制度改革関連法」が、自民、公明、維新の党などの賛成多数で可決され、成立しました。
この法案の柱は国民健康保険(国保)の運営主体を平成30年度に市町村から都道府県に移し財政基盤を強化することですが、75歳以上の後期高齢者の医療費を支える支援金の算定方式を変更し、大企業社員や公務員の負担を増やす「総報酬割」を、29年度に全面的に導入する方針も盛り込まれています。
大企業健保や公務員の負担が重くなる
今回の法案では、慢性的な赤字体質が続いている国保の財政基盤を強化させるために、29年度以降は毎年3,400億円を国保に投入することが決定しました。
その財源の調達手段として、75歳以上の後期高齢者の医療費を支える支援金の算定方式を変更し、所得に応じて負担する「総報酬割」を、29年度から全面導入することになっています。
そのため今後、大企業の会社員らが加入する健康保険組合の保険料や公務員の保険料負担が上がる見込みとなっています。
高齢者医療制度の構造的な課題は解決されない
「医療保険制度改革関連法」は成立しましたが、退職して所得が下がり、かつ医療費の高い高齢者のほとんどが国保に加入するものの、所得水準が低いことから保険料収入だけでは支えられないという、国保の構造的な課題は存在したままです。
今回の法案で、現役世代からの支援金を増やして財源を補填することが決まりましたが、今後もさらに高齢化が進み現役世代の人数は減る一方です。
現役世代からの保険料収入を一時的に増やしたところで、国保の医療制度そのものの改革を進めないことには、根本的な課題解決にはつながらないのではないでしょうか。