書類選考と一次プレゼンを通過した下記7社が当日最終プレゼンに臨みます。 最終プレゼンの企業とサービスは以下のとおりです。
AIにより最適化するIoT見守りサービス (株式会社アドダイス)
フットケアによる高齢者自立支援サービス (一般社団法人 生きがいづくり研究所)
ITを使った、地域助け合いの新しい形。介護する家族と介護を支援するサポーターのマッチング「ファミリーサポーター」 (エキサイト株式会社)
隠れた音を聴く技術で食事介助の負担を軽減し、誤嚥性肺炎を予防サービス (株式会社ハッピーリス)
現場の課題を解決する在宅看護師コールセンターサービス (フリックケア株式会社)
認知症予防パッケージプログラム”脳’s UP”の提供 (ブレインケア株式会社)
認知症予防に向けた脳の健康維持サービス (株式会社ベスプラ)
本イベントの講演登壇者は株式会社やさしい手の高橋 寛典さんが 「高齢者へのIoT活用とICTによる介護のシゴト魅力向上の取組事例」という表題で講演するほか、神戸市医療・新産業本部の多名部 重則さん、株式会社MT ヘルスケアデザイン研究所の阿久津 靖子が講演する予定です。介護業界ではIoT専門家として業界を牽引しているやさしい手の高橋さん、講演内容が楽しみです。
今回、デジタルヘルスコネクトのご合意により、ケアタイムズ新聞をご購読頂いた方(今このページを読んでいるあなたの事です。いつもありがとうございます)はイベント参加費3,000円のところ無償でご招待頂けることになりました。Digital Aging Meetupお申し込みページで事前お申し込みの際に、割引コードをクリックして「AGING」(全て半角大文字)をご入力ください。もし、ご不明の場合は、ケアタイムズ新聞へのお問い合わせまで参加希望と明記頂き、お名前を頂ければ編集部でリストに追記いたします(がなるべくご自身で入力頂ければ助かります)賞金総額100万円をかけた東京京橋、夏の陣がまもなく開催されます。
Peatix - Digital Aging Meetup - 海外先進事例と国内の取組紹介&2つのAgingスタートアップピッチコンテスト
]]>今回お話をお聞きしたのは、シャープ株式会社 ビジネスソリューションカンパニー ソリューション開発センター第三開発部ライフケアチームリーダーの佐田 いち子(さた いちこ)さんと同カンパニー システムソリューション事業部 商品企画部 参事の松本 孝司(まつもと たかし)さんです。同部門はハードウェアメーカーの視点から少し離れてソフトウェアやサービスを開発提供するソリューション部隊になります。
2012年当時、シャープが「ライフケア未病倶楽部」に取り組んだそもそものきっかけは、「健康寿命奈良県一」をめざしていた奈良県王寺町で発足した「未病クラブ」という私設の高齢者団体メンバーとの出会いでした。「未病クラブ」は高齢者が自分たちで元気になろうという考えをもった健康DIY(Do It Yourself)の団体です。未病クラブのメンバーから意見をもらい、直観的で楽しみながら介護予防に取り組んでもらえる様、高齢者の現場での課題を解決しながら作り上げたのが、アプリケーションソフト「未病倶楽部」です。
その後、2013、14年度と奈良県の公募事業に採択され、同県橿原市にて「かしはら いきいき タブレット」というサービス名で200名規模の実証実験、さらに同様のサービスをシャープ社友会でOBにも提供、神奈川県ではHEMSやテレビと連動した実証実験などの経験を経て、現在 は累計で約500名の方に「未病倶楽部」を利用してもらっています。
またこの間に、健康データや端末操作履歴の蓄積などクラウド側の機能も拡充し、健康管理や見守りに活用できる「ライフケア・サービスプラットフォーム」として、完成度を高めていったと佐田さんは言います。
亀山市は人口5万人、65歳以上の高齢者は1万2千人、山間部が多く平地が25%程しかないため車など移動の足が必要な日本全国によくある典型的な地方都市です。高齢者が孤立しないようICTを活用し常にコミュニケーションのパイプが提供出来ないかと亀山市が思案していた時、奈良県王寺町、橿原市などの取り組みを見てシャープにアプローチがあったといいます。その後、経産省の公募事業にも採択され、シャープを代表団体とした複数の民間企業と地方自治体から成る「亀山QOLコンコンソーシアム」が発足し、亀山市でのビジネスモデル実証を経て現在の事業継続に至っています。
高齢者もICTを使いたい。情報が欲しい。ただ誰に聞いたら良いのかわからない。わからないことを二度聞きづらい。そんな悩みを解決するために、コンソーシアムでは、地元のシルバー人材センターに活躍してもらおうと考えました。地元シルバー人材センターに登録しているシニアの方が、「未病倶楽部」をインストールしているタブレットの利用方法を学び、高齢者に教える流れをつくる。特に独居の場合、ひきこもりがちになりますがタブレット利用の定期勉強会として月例会を開催しました。定例会の話を聞き月額2,980円の受益者負担ですが、徐々に口コミで広がっているとのことです。現在利用している方は平均年齢73歳、最高齢87歳の約100名になります。
「高齢者はICTを使いたくないのではなく、タップという意味も使い方もわからないだけ、誰かが教えてくれれば使いたいと思っている。YouTubeも見たいと思っています」と松本さんは語ります。
本プロジェクトのキーマンである松本さんは過去にウェブ会議システムや特定分野のソリューションサービスを長年手がけてきた法人向けサービスの専門家です。本プロジェクトではコンソーシアムを組成していく中でシルバー人材センターや亀山市、第三銀行などパートナー各社と座組みや流れを一歩一歩整理してきました。特に血圧などのバイタル情報を含む、個人情報にあたる各種情報の取得方法や契約などライフケア事業に参入するにあたりクリアしなければならないハードルは多いと言います。
プロジェクトのリーダーである佐田さんは入社以来、自然言語処理の専門家として、パソコン時代の定番翻訳ソフトとも言われていたパッケージソフト「PowerE/J 英日翻訳これ一本!」やシャープの電子辞書に内蔵されている「会話アシスト」など翻訳エンジンの開発を担当していました。後年Googleなどネット企業による検索データをバックグラウンドにした翻訳サービスが台頭してくるなか、翻訳パッケージ業界は急速にシュリンクしシャープの独自翻訳エンジンも開発終息になりました。
そして 2012 年ヘルスケア担当となりました。活動を進めるうちに、単に「ヘルスケア」だけではなく、高齢 者に健康・安心・楽しみを感じていただけるよう、QOL 向上を目指すべきとの思いより、「ライフケア」とい う概念に領域を広げて取り組んでいます。現在は佐田さん、松本さんを含めた 7 名のメンバーが部門をこえてプロジェクトに参加しています。足掛け4年にわたる実績もできた現在、今後はどうやって「未病倶楽部」を広めていくか、全国への販売計画をどうするのか事業成長に向けプランを策定中とのことです。
1980年代にパソコンに興味を持った世代でしたらご存知かもしれませんが、シャープ独自規格のパソコン「X68000 XVI」筐体には英文でこのような文が記載されていました。
Power to make your dream come ture.(あなたの夢を実現する力)
当時このシリーズはハードウェア基本設計を5年間は変えないというコンセプトでパソコンを販売していました。シャープは他社と違いハードウェアの進化よりもソフトウェアの蓄積と充実が必要であると考えハードウェアはデザイン以外あまり変更しませんでした。当時のパソコンは今のスマホスペック競争のような時代です。各社は一年おきに新しいハードウェアを搭載して買い替え需要を喚起していきました。その後シャープは一定のシェアはとりましたが、NECのPC98という国民機に飲み込まれてしまいました。
今となっては5年間という公約は結果的に間違っていたと言われています。ただそんな中、他社がハードウェアで実現することをソフトウェアの蓄積で自分たちで作ろうという考えを持った人達を多く輩出したパソコンだとも言われています。いわゆるDIYの精神です。そんなDIYの薫陶を受けたプログラマーは現在ゲーム業界、CG業界、金型業界に入り活躍をしていると聞きます。
タブレットやスマホを活用して健康年齢を向上される取り組みは、DVDレンタルなどでTポイントカードを配布しているCCC(カルチュア・コンビネンス・クラブ株式会社)が提供する高齢者向けの「ふるさとスマホ」や、日本郵便がAppleのiPadを高齢者宅に配布する計画など類似サービスがいくつか発表されています。
「自分たちの健康は自分たちで管理していこう」奈良県王寺町で産声をあげたICTを活用した健康元気なDIYの取り組みが、シャープと出会ったのは偶然ではないと考えたのは、たぶん筆者がシャープのパソコンでDIYを学んだせいなのかもしれませんが、健康元気を維持するのはあくまでDIYなんですよという考えを今回取材を通じ思い出しました。
健康元気を維持するという夢を実現する力となる。シャープの「ライフケア未病倶楽部」には今後も成長していってもらいたいと思います。
シャープ発表「亀山QOL支援モデル事業※2」のビジネス実証※3を開始
]]>「ジムに行っても動かせる筋肉は決まっています。普段動かない場所を動かすのが重要なのです」と語る今泉院長は、鍼・灸・指圧の業界に入って15年、独立して9年の鍼灸師です。治療延べ人数は20,000人を超すベテラン鍼灸師です。
一方、古島さんは独立創業して4年、独立前は携帯電話のコンテンツを手がけていたインデックスに入社、一貫してIT関連のプロジェクト畑を歩んできました。その後、長男として実家の老舗法衣店を継ぐために退職、家業を継いだあとも昔のご縁でプロジェクト単位でいくつか声をかけられていく中、家業とは別にインスパイアを創業しました。
そんな今泉さんと古島さんお二人の出会いは治療でした。普段背中が張るなどから健康に気を使っていた古島さんは知人から今泉さんを紹介してもらい初診を受けました。翌日身体が軽くなったという体験からしばらく定期的に通い続け治療を受けている時、今泉さんから「こんな健康器具を考えている」という話が出てきた際に、古島さんは「一緒に事業化しましょう」という流れになりました。それがお二人の製品「ほぐセル」です。利用方法は「ほぐセル」を手の指(足の指の間)に挟んで、手首(足首)を支点に、ゆっくりと大きくグルグル回すだけです。
製品開発といっても、普段治療院の営業は夜21時まで、日々患者さんの治療に没頭しがちな性格の今泉さんは、在庫管理や広告宣伝などやったことはない事、面倒くさいことはやりたくないですよとの言葉に、企業ニーズに合わせ数々のプロジェクトを立ち上げまたは参加してきた古島さんは、そこは得意分野ですと答えました。早速ソニーの井深大さん、盛田昭夫さんのように製品企画とマーケティング販売とで分業体制が出来ました。
その後、古島さんが生活しているシェアハウスにいた薬剤師、クリエイティブプランナーの方から協力やアドバイスを得ながら、国内最大手のクラウドファンディングサービス「Makuake」に出品したところ、開始32日で目標金額を達成、さらに現在も追加の出資を募って現在も快進撃中です。クラウドファンディングでの価格は2個セット税込み3,402円で販売中です。
予定では「ほぐセル」製品出荷は今年の8月。古島さんがネットで調べ何度か足を運んだ末に選定した大阪の製造メーカーで量産を開始することになっています。クラウドファンディングで募ったお客様に出荷した後は、ネット経由や東急ハンズなどのような健康器具を扱う店頭でも販売したいと考えています。
それにプラスし今泉さんはただ販売するのではなく器具の正しい使い方を学び継続して利用してもらいたいので使い方の講習会を開催したいと言います。特に便秘の解消など、体質改善するには正しい改善を積み重ねていかないと元の体質に戻ってしまいます。とくに筋肉のつき方や姿勢が変わっていく事、そこが重要といいます。そんな考えがあるのも、今泉さんが設立した治療院名の由来は「治ったという証拠を集めたい」という気持ちを込めて、えびでんす(エビデンス、証拠・根拠という意味)とした経緯があるからでしょうか。
今回のような事業化はネットの利用を最大化、とりわけ試作や販路もスモールスタート出来たのはクラウドファンディングなどのサービス活用も大きいですが、今泉さんのような専門家と、古島さんのような情熱を持った実務家が出会い、お互いの専門性を尊重し会いながら、時に議論をしつつ成功に歩めたのはお話しても感じるお二人のお人柄なのかなと感じました。組織の雰囲気は創業者が創ると言われますが、このような起業家の皆さんがより多く輩出され解決すべき課題の多い介護・医療業界の活性化につながっていって欲しいと思います。
これらの取組みはトップダウンなのか、現場をどう巻き込んでいるのか、どうやって介護現場に新しい風を吹かせているのか、そんな疑問を一般社団法人 HCICヘルスケア産業従事者協会、代表理事の川合紀子(かわい のりこ)さんと、同じく理事の末松 清一(すえまつ せいいち)さんと一緒にお話をお聞きしました。
今回お話をお聞きしたのは合掌苑の森 一成(もり かずしげ)理事長と、お客様相談室マネージャーの神尾 昌志(かみお まさし)さん、同じくマネージャーの森田 健一(もりた けんいち)さんです。
森理事長は昭和36年生まれの現在55歳。前職は金融系のCOBOLプログラマーとしてIBM 3090(当時としては画期的な512MBのメモリーを搭載していた大型コンピュータ)を前に月残業200時間をこなしていました。平成2年、29歳の時に親戚の紹介で合掌苑の市原秀翁(いちはら しゅうおう)前理事長に出会い入社しまして、理事長に就任したのが今から5年前です。
森さんが入社した頃の合掌苑では帳簿、給与計算など手書きや青焼き機(ジアゾ式複写機)も稼働していました。マイクロソフトのWindowsがまだ発売されていなかった当時、表計算ソフトで有名だったのはExcel(エクセル)ではなくマルチプランでしたが、森さんは自宅からパソコンを持ち込み、マルチプランを駆使しながら徐々に先代理事長のやりたい事を電子化、仕組み化していきました。
戦後まもなく自動車修理工で独立していた先代理事長は、技術者としての思考も強く情報化に伴うシステム導入に抵抗がなかったそうです。懐かしいシャープの電子手帳「Zaurus(ザウルス)」など電子手帳も発売される度に色々購入し積極的に使っていたとのことです。さらに合掌苑は、Windows 3.1が発売され、ヤフージャパンが事業を開始してまだ2年目の平成5年(1993年)8月、AppleのMacintoshを10台社内導入し電子メールを使いはじめました。積極的に新しい手法を導入出来たのは先代理事長に技術者としての視点と森さんの実行力があったからなのだと思います。
先代理事長が合掌苑を創業するまでの話は社内制作YouTube動画でご紹介します。
森さんは幹部マネージャー、直属である企画部や横の組織であるチームリーダーなど約60人を毎月一人あたり30分から1時間、音声のみのSkype面談をしています。現在、合掌苑の従業員数は600名、3つの拠点が離れているため、森さん以外のマネージャーもどんなに忙しくてもSkypeを積極的に活用して月一の面談をしています。音声のみにしているのは顔の表情をパソコン画面越しに見ているとなぜか話に集中できなくなるからとのことです。
同じく現場でのインカム導入は4年半前できっかけは森さんが視察先でインカムを使っていたのを体験したことでした。導入当初、現場からは重くて面倒くさいなどの苦情もありましたがしばらくするとその苦情は無くなったと言います。「情報を知ること、共有すること」を知ってしまったら知る前に戻れないからと言います。「手が空いている人、お願いします」などチームとして助け合いながら、職員同士の距離感も縮まり、特に新人のストレス軽減や夜勤間での情報伝達など効果は絶大と言います。
お客様からの相談窓口と広報業務を担当されている神尾マネージャー
平成16年頃に社員600人規模になり、次にどう組織を創るかを考えた時、このまま拡大成長路線を選択することも出来ましたが、成長の方向を内部の組織能力を高めていくという方向に変えたと言います。前理事長は常々措置施設の限界を言っておられ、永続的な合掌苑を目指し人材の教育が再優先であるとしたその時の決断が大きかったと森田さん、神尾さんは言います。
森さんが理事長に就任した後も社内の組織力を高める為に色々な組織運営手法を導入したそうです。経験した中で、幹部マネージャーや現場のスタッフにもスッと受け入れられ「腹に落ちた」のが2年前に導入したアメーバ経営だったと言います。きっかけは介護業界紙、シルバー新報からの紹介でした。興味を持った森さんは一昨年の6月に経理のスタッフ一人を連れ京都のアメーバ勉強会に出席しました。それからずっとアメーバ経営の考え方を導入しています。そして今ではアメーバ経営にとって重要な会議後のコンパ(懇親会)もきちんと現場で運営できているそうです。
一緒にお話を伺った介護施設、医療施設での従事者向け教育プログラムに取り組んでいるHCICの末松理事と川合代表理事
昔の良い介護職員とはもくもくと仕事をこなす職員だったといいます。そして今はインカムなどで周りの話を聴きながら仕事を進められるのが良い介護職員だと合掌苑は考えている、個人プレーからチームプレーになったのですねと森田さん、神尾さんは言います。
介護の世界は、介護するスタッフのパーソナリティが満足度を左右します。多くの介護職が経験を積むと積極的に勉強しなくなる理由は、人間性のよさと経験値のみで動いていれば良く、自分は良く出来ている、知っているからと勉強する必要がないとも言われてきました。そこを継続できる手法に基づいた根拠ある介護にする為、目標を数値化することから始めたと言います。組織目標は常に「お客様を幸せにする」ですが、その組織目標を個人目標と如何にリンクさせるか、アメーバ経営を導入することにより、初めてリンクするようになったと言います。ただし数字の達成をノルマにしない。そこが重要と森田さんは言います。
そして「介護知識をより多く勉強してもらうきっかけをつくりその気になってもらう」、成長実感を持ってもらえれば、自身で新しい知識を受け入れる手法を手に入れられると言います。言葉では簡単ですが、合掌苑内では過去色々な手法を取り入れ、これで良いのかと常に自問自答し続けていると言います。
コーチングやチームビルディングの専門家である森田マネージャー
合掌苑の先代理事長は若かりし頃、岐阜県郡上市美並村にある北辰寺(ほくしんじ)で修行しました。北辰寺にはもともと児童養護施設「合掌苑」があり、修行時に指導員としても働いたことがあったそうです。その後、東京中野の龍昌寺に移り都内第一号の老人ホームを設立した際に、岐阜の児童養護施設と同じ名前をつけたのが合掌苑の由来だそうです。
「合掌」という言葉は、日本語での文章語として故人に向けての哀悼の意を示すべく、文末に添えられることがありますが、本来、合掌として両手のひらを胸または顔の前で合わせる行為は、右手は仏の象徴で、清らかなものや知恵を表し、左手は衆生(しゅじょう)つまり自分自身であり、不浄さを持ってはいるが行動力の象徴であるとのことです。一方、エンジニアリングの和訳としての技術とは、社会の各分野において、何らかの目的を達成するために用いられる手段・手法と言います。
名は体を表すとはいいますが、合掌苑は、知恵と行動力が対になるということを常に継続しながら、強い組織を作り続けているのではないかと思います。そして私達自身が属する社会も過去より脈々と続けられた知恵と行動力が産みだした賜物と言えるのではないでしょうか。
森理事長と神尾マネージャー
運営母体のインフォコムは大手総合商社、日商岩井(現在は双日株式会社)の情報システム部門と通信事業部門が、同じく大手繊維メーカー帝人の情報システム部門子会社と合併して出来た会社です。インフォコムの筆頭株主は帝人ですが、帝人といえば子会社の帝人ファーマが睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療器レンタル事業や在宅医療機器などを手掛けるなど医療、介護業界でも存在感があります。
インフォコムがデジタルヘルスコネクトを立ち上げた理由は、ICT事業者が参入するには中々ハードルの高い医療介護業界への水先案内人を務める事と、両社のつながりを作る事と言います。さらに最近では、大手介護事業者のソラスト株式会社に出資するなど、介護業界にも積極的な事業展開を進めています。
かつて親会社の帝人では中核の繊維業界から多角事業化を推進する為、50年先の事業を見据えた「未来事業本部」という部署がありました。1970年代に始めた医薬事業もそんな事業企画の1プロジェクトで50以上の新規事業が創出されました。デジタルヘルスコネクトにはそんな先人が歩んできた「未来事業本部」のDNAが宿っているのではないでしょうか。
ディレクターの原田さんは通信キャリア向け担当部署、同じくキャプテンの栗山さんは大手企業向けITシステム導入部署と、社内でも特に医療介護分野に精通しているわけではありません。だからなのか新しい事業展開を考えているヘルスケア企業に出会い話を聞くとき、楽しく無邪気に聞けるとも言います。
「話を聞いた帰り道にはいつも自分自身が興奮します」とは原田さん、栗山さん共通の言葉です。インフォコムのようなITシステム導入会社の強みは人柄と人の話を聞く力と言われますが、必然的に介護や医療が得意なメンバーではなく話を聞く、とりわけ「未来を聞く」ことが好きなチームになったのでしょう。
デジタルヘルスコネクトでは、出資先のソラストと共催で介護系サービスのコンテストを開催しています。選定されたサービスはソラストとの実証試験、さらに賞金として総額100万円がもらえます。
IT系サービスコンテストの中には、事業内容に関して、主催者側の細かいフォーマットを埋める必要があるものも少なくなく、中には三年先までの事業計画提出を求めるものまであります。デジタルヘルスコネクトはサービスの概要を箇条書きに記載するだけと簡単にエントリー出来ます。
その理由は多くの夢に出会いたいからと言います。デジタルヘルスコネクト事務局は現在3人、既に60社を超える会社に出会い話を聞いてきました。出会ったヘルスケア事業者が希望すれば、スタートアップディレクトリーとしてデジタルヘルスコネクト内で事業紹介もしています。
あと、IT系サービスコンテストと違い今回実際ご利用頂く介護事業者としてソラストの存在も大きいです。B2B(事業者)向けサービス開発で、コネやつながりがない場合は本音での議論も出来ませんので、ここは有効なのではないかと思います。
高い志や思いを持った人と出会いたいからコンテストをする。デジタル時代の未来事業部から、どんなサービスが発掘されていくのかコンテスト結果と50年後が楽しみです。
今回はそんな研究室の実証研究に協力している地元奈良でリハビリ特化型の地域密着小規模多機能事業所を運営している株式会社 ライフケア創合研究所、いこいの家 ケアセンターの湯川 直紀(ゆかわ なおき)さんと奈良先端大のチームの皆さんに産学連携プロジェクトについてお話をお聞きしました。
現在、参加しているユビ研のチームは5人とウェアブル通信機器に精通したエンジニア、あと湯川さんの合計7人になります。
※写真左奥から時計回り順に (敬称略)
駒井 清顕(博士前期課程2年生)
藤本 まなと(助教/博士(工学))
諏訪 博彦(助教/博士(学術))
荒川 豊(准教授/博士(工学))
湯川 直紀(いこいの家 ケアセンター理学療法士)
プロジェクトは、長年、医療法人の運営に携わっていた湯川さんが3年前に介護施設を開所されてから常々考えていた施設内で自由に過ごされている利用者の状態を違和感なく見守り出来ないかという悩みと、奈良先端大の学内に建てたスマートハウス施設での実証実験を経ながら、より実践的な課題を解決する場がないかと探していたプロジェクトリーダー荒川先生の出会いから始まります。
昨年8月からヒアリングさせてもらいながら試作品を作り、本格的に実証試験を開始したのは今年1月からです。いこいの家での利用者は名札を首からぶら下げていましたので、名札と一緒に重さ18gのビーコンを下げてもらいます。そのビーコンは施設内にいる時、施設内の各所に設置したビーコン読取機を使い、リハビリ機器などにどのくらい時間滞在していたかが分かる仕組みです。
プロジェクトには、産学連携ならではの適材適所な人材が関わっています。
藤本 まなと(ふじもと まなと)さんは、無線機器の専門家で、施設内に設置したビーコン読取機の開発や電波の発信状況を見ながら設置場所の設計を担当しています。
諏訪 博彦(すわ ひろひこ)さんは、機械学習アルゴリズムが専門であり、ビーコンから取得した情報を元に、より精度の高いビーコンの場所や異常な状態を検知するための人工知能部分を担当しています。
駒井 清顕(こまい きよあき)さんは、施設内でのセンサー設置や、データ取得時のトラブル時などに駆けつける現場監督を務めていました。湯川さんのお話ですと駒井さんは施設に一番通われて一番現場を観られていたそうです。
プロジェクトを統括されている荒川 豊(あらかわ ゆたか)准教授は、奈良先端大で民間企業を数多く巻き込んでスマートハウス研究を牽引されているICTの研究者です。
試験から一ヶ月、当初は想定していなかった電源事情によるビーコン読取機の設置場所など苦労されたそうですが、現在はビーコンの発信時間の間隔を上げたり、読取機のカバー範囲や設置場所を改良するなどし、場所の精度もあがってきました。
ただ、精度が上がってもビーコンの動きは約6割しか判断出来ませんでした。理由は1台のビーコン読取機がカバーする範囲が広く、例えばリハビリ室にいる時と隣の部屋にいる時の違いが正確に区別できないからです。ビーコン読取機の数を増やし1台あたりのカバー範囲を小さくすることにより精度も上がりますがコスト増になります。
そこで、諏訪先生の専門である機械学習システムが威力を発揮します。過去同じ時間帯にいた場所や動きのデータを利用、予測して実データと付け合わせ検証したところ、正解率は9割に上がりました。同じようにビーコンを利用し見守りをするサービスは増えていますが、コスト低減をする為に人工知能を活用するといったアプローチは産学連携ならではと思います。
さらにビーコンの加速度計を利用し万歩計のように移動歩数も取得できるようになり、今後データが溜まっていけば精度が上がっていくと言います。
利用者が増加し介護保険は過去10年で複雑になったと言われています。そのため介護現場では正確な記録を取る事が重要な作業になっています。湯川さんはこのビーコンシステムが実現化すれば利用者の活動記録の為に手板を持ち歩き紙に記録している作業の多くを無くすことが可能になるのではないかと言います。
さらに施設内スタッフにもビーコンを持ってもらい、職員に負担をかけずに作業内容を可視化することにより、ベテラン職員が豊富な経験から導く気づきやリスク回避のために先回りして取る行動を、新人スタッフに伝える教育にも役立てたいと考えています。
このスタッフ行動履歴は今後新たに施設を施工する際に、間取りやスタッフの最適な配置場所を設定して少人数で安全・安心な環境作りの効率化を考えられる唯一のデータになるのでないか、今まで経験と勘に頼っていた新設施設の運営も、必要な作業、実は不必要な作業と判断できて、作業効率も劇的に変えられるのではないかと湯川さんは言います。
湯川さんは和歌山県の生まれです。将来的には和歌山の白浜や勝浦に日本版CCRCを造りたいと考えています。豊かな自然と温泉地である白浜勝浦に元気なうちから移住してきてもらいたい。空いている旅館などを借り上げビーコン読取機を設置した施設として改修し、健康状態を見守りしながら安心して住んでもらう。
もちろん、日本版CCRCを実現するためには課題も多く、お年寄りだけが移住するだけでは成り立たない事もわかっています。湯川さんは介護事業者の仲間や行政機関などもちろんですが、奈良先端大の荒川先生たちのようなICT専門家にも「時空と空間を超えられるのはITだけ」と夢を語りながら、足りないピースを一つずつ埋めていっています。
和歌山には伝説の小栗判官を蘇生させた湯の峰温泉のつぼ湯があります。つぼ湯に浸かり小栗判官が復活したように、奈良先端大チームが関わるICT技術で課題が多いとされる介護業界を再生させることが出来るのでないかと期待に夢膨らむ、そんな実証試験のお話でした。また引き続きお話をお聞きしていきたいと思います。
両社は既に2015年11月から、HAMOLOのKinsei(キンセイ)を利用した見守り位置検索サービス実証実験を始めていましたが、これはJR西日本の駅改札付近において、機器の動作確認などを行うだけにとどまっていました。
今回の実証実験では次ステップとして、駅や学校などに専用レシーバーを設置し、実際にサービスを利用したうえでの機能の確認や課題の把握を行うとしています。
「Kinsei(キンセイ)」の仕組ですが、まずは、子どもやお年寄りがいつも利用する鞄や財布などに、専用のビーコンを入れて持ち歩いてもらう必要があります。
その後、持ち歩いているビーコンを検知するために、地域の方々や見守り位置検索に協力いただける方々のスマートフォンに、専用の「見守りアプリ」をインストールしてもらいます。
そうすることにより、駅や学校などに設置した専用のレシーバーや「見守りアプリ」をインストール済みのスマートフォンでビーコンの位置情報を把握することが可能になり、駅や学校といった定点での位置情報の把握はもちろん、「見守りアプリ」をインストール済みの方々(サポーター)の協力のもと、地域ぐるみで子どもや認知症の高齢者を見守ることが可能になります。
今回の実証実験は、2016年2月22日~3月下旬まで実施する予定で、専用のレシーバーをJR神戸線の「住吉駅」「摂津本山駅」「甲南山手駅」の3駅と、「神戸市立住吉小学校」を含めた計4箇所に設置し、神戸市立住吉小学校にモニター協力を依頼します。
実証実験の期間中に、実際にサービスを利用したうえでの機能確認や課題の把握を行い、その後、試験運用の結果を踏まえ、2016年3月下旬から本格展開を開始する予定としています。
関連
引用
安心・安全な街づくりを目指して IT技術(ビーコン)を活用した「見守り位置検索サービス」試験運用を開始
]]>セミナーは「医療機器開発 超入門 ~開発が決まったら、何する?~」と題しまして、主に医療機器業界への参入をお考えの方を対象にして試作品を製作した後の実証実験手続きや流れ、医療機器開発に必要な関連文書などの説明を実例を元に解説します。
清水美雪(しみず みゆき)さんは医療機器メーカー大手のテルモにて17年間にわたり医療機器の開発などを手がけられた後、もっと地場力のある中小製造業などが医療機器分野に参入できるようにとコンサルティング会社、Medical Lab Partnersを創業しました。
昨年の2015年12月2日に東京で開催されたセミナーに続き二度目の開催になり、前回参加者の声として、医者や看護師さんとの付き合い方のキッカケなどが参考になったとのことです。医療機器でのスタートアップや第二創業にヘルスケア分野を検討している中小製造業のご担当者は参加を検討してみてはいかがでしょうか。
まず、失語症を簡単に解説します。
失語症(しつごしょう、aphasia)とは、主には脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢(言語野)が損傷されることにより、一旦獲得した言語機能(「聞く」「話す」といった音声に関わる機能、「読む」「書く」といった文字に関わる機能)が障害された状態。Wikipediaより引用
失語症のリハビリとは、言語聴覚士と言われるリハビリテーション専門職が、患者毎に訓練プログラムをつくり指導します。長嶋監督が失語症から回復した際にも長いリハビリが必要だったように、言語聴覚士と対面で根気強くリハビリをする必要があります。そんな言語聴覚士の支援をし、患者との一部の対面訓練をPepperに任せるサービスがロボキュアが開発したActVoice for Pepperです。
ロボキュアの原点は、同社取締役CTO(最高技術責任者)である石畑 恭平(いしはた きょうへい)さんが若い頃に手術の後遺症で失語症になり、その後長いリハビリから復帰した原体験と、千葉大学の大学院で、失語症リハビリの支援サービスを考えていた千葉大学大学院の黒岩 眞吾(くろいわ しんご)教授、千葉県にて失語症のリハビリ器具を開発しているメーカー、株式会社エスコアールとの必然とも言える出会いから始まったそうです。
ActVoiceとは、エスコアールが開発している紙カードを使った失語症のリハビリ専用機です。紙カードに使っている絵柄などはエスコアールが長年培ってきたノウハウです。この専用機ActVoiceをタブレット機器で動かせないかと黒岩教授が考え、プログラマーとしてゲーム開発など手掛けていた石畑さんに開発を依頼しタブレットアプリ ActVoiceSmartが完成しました。
黒岩教授が開発を依頼した際には、石畑さんが失語症を経験していたとは知らなかったそうです。さらに、臨床試験を開始した千葉県の君津中央病院でこのプロジェクトに言語聴覚士として参加している村西幸代(むらにし さちよ)さんは、むかし石畑さんの四年間に渡るリハビリを支えてくれた恩人なのです。点と点がつながった必然を感じてしまいます。
その後、ユーザーインターフェース開発などを手がけていた森本さんが参加し、タブレットアプリとは違うリアクションが返せるのと、人型で親しみやすいのでリラックスしながらリハビリができるのではないかという事をチームで考え、Pepperでの開発に着手しました。
今でもActVoice for Pepperは千葉県にある君津中央病院で臨床試験を繰り返していますが、最近の試験ですと人間による訓練では達成率20%程度で推移するのが、Pepperとのリハビリも併用すると約40%と2倍の成果が出て、その後50%前後まで上昇する結果が出てきているそうです。
その理由はPepperの親しみやすさとリアクションにあると森本さんは言います。ロボット相手だと患者は恥ずかしさや待たせては悪いなどの感情も無くリハビリに没頭できるからです。
その後プロジェクトから会社設立をし、ロボキュアの代表になった森本さんは「当社の強みはロボットを通じたリハビリのインターフェース」と言います。
ロボットは一生懸命にリハビリに取り組んでいる患者を根気強く待ちながら、温かいリアクションを返します。「僕にはりんご?って聞こえたよ」「もう一度やってみようよ」。その声をPepperが自然に返せるようになった裏では膨大な時間の臨床試験があったそうです。
店頭でティッシュを配るPepperや、ソフトバンクショップでスマホ案内をするPepperを見たことがある方は多いと思いますが、Pepperしか出来ない天職というのは今までなかったのでないかと思います。いま、ロボットはリハビリを通じて人間のお手伝いという天職を授かったのではないでしょうか。
産学連携と膨大な時間の臨床試験。手塚治虫がそうであったように、ロボットに夢を吹き込むのはいつも人間なのだということをActVoice for Pepperをみて思い出しました。
以前より、介護利用者が介護サービスの比較ができるようにと、地方自治体が管理公表している介護サービス事業所のデータを厚生労働省が運用している「介護サービス情報公表システム」という検索サービスで公開しています。
現在は、24種類52サービスの分類で全国19万箇所のデータが掲載されています。介護サービス事業所の情報を毎年公表するという介護保険法に則った制度があり為、国が提供している検索サービスです。
公表されている数字から一日に約5千回の検索があるみたいです。もっとも情報を引き抜こうとクロール(自動巡回)している民間介護検索サービス会社のロボットなどもありますので、純粋に人間が検索しているのはこれより少ないと思いますが、比較的よく利用されていると思います。ただ、スマホ版である介護事業所ナビのAndroid版インストール数は500から1,000以下でスマホ版がまだまだ知られていないのは残念なことです。
開発はNTTコミュニケーションズが担当しているからというわけではないと思いますが、アプリで問い合わせをするというよりかはアプリから電話をかけることを目的としています。もっとも、介護サービスを探している利用者自身が、複数の施設に直接電話をする事はあまり考えられませんので、全国に約8万人いるといわれているケアマネが近隣の介護サービスに問い合わせする事を目的にしているのではないかと思います。
基本的な操作は、今いる場所をGPSで取得もしくは市区町村を設定して、半径1kmから最大50kmまでの範囲で介護サービス事業所を検索します。ただ、選択範囲を広げる時などは、一々設定画面に移動するなど、検索画面はまだまだ改良の余地があると思います。
厚生労働省の公式アプリなので、あまり大胆な機能拡張を期待するのは難しいかと思いますが、将来的には、事業所データの提供に特化して、検索性の向上や商店街、タクシー、人混みの多さなど追加の情報を加えた検索サービスは民間企業の競争により、良いサービスを育む方向に舵を切って欲しいと思います。
ケイ・オプティコムが提供するタブレット端末や養父市専用のアプリを活用し、誰でも使いやすいインターフェイスで、養父市のくらしや医療、公共施設等に関する情報を配信することで、市の情報発信体制の充実に貢献するとしています。
本取り組みでは、地方創生の基本目標として「住みたいまち」「チャレンジできるまち」「子育てしたいまち」「健康長寿のまち」を掲げている養父市と共同でトライアルを行い、地域に根ざしたサービスモデルの実現を目指しています。
「健康」サービスでは、養父市専用の健康管理アプリで住民の歩数や健康状態を記録したり、養父市からのお知らせなどを配信したりする仕組みを提供し、「介護・見守り」サービスでは、タブレット端末に搭載されているカメラによる高齢者の見守りサービスや、センサーの活用による認知症患者の徘徊検知サービスを提供する予定です。
ケイ・オプティコムは、本サービスを地方における「安全・安心に暮らせるまちづくり」に貢献するための取り組みとし、今後の周辺自治体への展開も視野に入れ、トライアルに取り組んでいくとしています。
引用
]]>上総一ノ宮駅を降りて徒歩15分、閑静な住宅地でグループホームを営む「ハートライフ一宮」は、現在グループホーム1ユニット9名計2ユニット18名、小規模デイサービス1日10名までの介護事業を営んでいます。内田さんのお父さんがグループホームをこの場所に開所して10年、小規模デイサービスを初めて8年とのことです。職員は22名に加え、内田さんの父親と母親、兄と家族4人も一緒に働いています。
内田さんはドスパラ退職後、施設の勤務シフトに入りながら週一回学校に通い介護を一から学びました。そして施設長として働き始めて、学校で学んだ必要な介護と、現実のギャップに戸惑いを感じはじめました。本来は「自立の支援」を必要としているのに、効率化が優先されたり、会話などのコミュニケーションが不足しがちになっていたのです。
そして、優秀な販売員のように、内田さんは根気よくわかりやすくコミュニケーションを続けました。ただ結果として、今までの介護を良しとしてきた人たちとは意見が合わず、だいぶ人が辞めてしまったと言います。
新しく入ってこられる職員には、事前に内田さんが考える「効率だけを追わず、人と接して自立の支援をする介護」を説明し入社してもらっています。結果、新しく入ってこられた職員は、会社と意見が合わず退職するということもなく長く務められる方が多いのとのことです。
これは地域に根ざしながら、必要な介護とは何かを経営側も理解しているので、介護ヘルパー職を自分の本職とし誇りをもって働くことができるからだと思います。どこの業界もそうですが、行き過ぎた効率化とは関わっている人たちの気持ちを削っていくことはあっても高い志に高揚させることはないのです。
今から25年以上に「DOS/V自作」という言葉がありました。DOS/V(ドスブイ)とは、IBM PC/AT互換機の通称で少し乱暴に言えばパソコンの規格です。DOS/V自作とはその規格のパソコンを組み立てることです。内田さんが取締役をしていた株式会社 ドスパラは、業界でも最大手、DOS/V自作時代の黎明期からある会社です。今でも、高品質な画像のゲームなど高速なパソコンを必要とする人や安くパソコンを組み立てたい人は、パーツを購入する為に多くの人が訪れるます。ちなみにドスパラの名前は、DOS/Vパラダイスから来ています。
パソコン専門店は、お客さん自身がパソコンに詳しい方もいれば、初心者の方に教えることもありと、常に新しい商品知識に限らず根気強いコミュニケーション能力も求められます。
その為、店舗設計、お店づくり、販売導線などもさることながら、専門的知識を持ったコミュニケーション能力の高い販売員を育てるための教育がとても重要になってきます。大手量販店が最近になり、家電接客ナンバーワンという宣言をするようになってきましたが、パソコン専門店は、昔から接客ナンバーワンを求められてきた業界でもあります。
進化サイクルの速さから常にトレンドを勉強し続ける必要があり、コミュニケーション能力も求められるパソコン業界の販売員はニッチながらタフさという意味でも最強の接客業だという人もいます。
内田さんがアルバイトで入社した頃のドスパラは一店舗のみ総勢20人でしたが、最盛期の店舗数はで全国に36店舗、社員数800人を超える巨大組織になりました。取締役として、内田さんはドスパラ全店舗の統括をしてきました。
なぜ他社が閉店に追い込まれる中、20年以上に渡りドスパラがパソコン専門店で最大手でいられたかといえば、基幹システムなど社内システム化が早かった事や新卒教育だけではなく、マネジメント研修など普段の社員教育にちからをいれてきたからだといわれています。特に、尾崎 健介社長時代になってから、内田さんも数々の研修で徹底的に叩きこまれたとのことです。
そんな内田さんがドスパラ退職を決意したきっかけは、父親が病で施設を手伝って欲しいという家族の願いからだったそうですが、ドスパラでの店舗づくりの経験、特にパソコン専門店としてのコミュニケーション能力の高い人員の教育手法は、今のグループホーム運営にとても役立っていると内田さんは話します。
特に最近は、他のグループホームで受入れに問題がある利用者さんを受け入れて欲しいと相談が来るようになったといいます。他で出来ないのになぜ出来るのですかとお聞きすると、介護現場では今起こっている状況を感情でその場で判断する事も多々ありがちですが、利用者さんと根気よくコミュニケーションを試み、ロジカルに物事を考えて、施設内ではPDCAサイクルの共有をするだけで特に難しいことはやっていないといいます。
内田さんは、数年先の近い将来の夢を語ります。
「介護業界に必死になって働けるようなキャリアパスをつくりたいです。職員が経験を通じて、ケアマネになるだけじゃなく、独立して居宅介護支援事業者となり、お互いに協力しあう仲間になる。僕?僕はその時は中心にいたいかな?(笑)」
更に少し先の夢として、介護保険適用外サービスとしていくつかの小規模多機能サービスも提供したい、特にレスパイトケア(在宅介護等の家族支援)で、必要なサービスを拡充していきたいとも内田さんは言います。
いまどこの介護事業所も人が足りず困っているなか、ドスパラ譲りの社員教育とPDCAサイクルの共有をしながら職員の独立を通じ一緒に成長したいという内田さんの夢は、地に足の着いた現実感のある夢だと思います。
内田さんは、以前仕事で頚椎と腰を傷めたことから身体を鍛えていると言います。今月は地元の10kmマラソンにも初参加したそうです。そして昔から好きだったプロレスの影響もあり頭でブリッジするをし首も鍛えていると言います。「首は鍛えられます!」と言いきった内田さんの言葉から「介護業界も変えられます」という期待を感じました。
内田 洋さんのゴングは鳴ったばかりです。
設立からちょうど一年、みらい町内会の代表取締役社長で、メディカル・ケア・サービスの常務取締役 事業開発本部長の堂本 政浩(どうもと まさひろ)さんに、今年2015年10月に開始したサービス「どこシル伝言板」のお話をお聞きしました。
「どこシル伝言板」は、一般的なサービスカテゴリーで言いますと、インターネットを利用した認知症徘徊者の情報共有サービスです。
仕組みは、まずQRコードが印刷された布製ラベルを洋服などに複数箇所貼り付けておきます。布製ラベルは家庭用アイロンで熱圧着するタイプで、洗濯などにも強くはがれにくい東レトレシーの素材を使っています。
その後、行方不明者を保護した人がQRコードをスマホや携帯で読み取り、伝言板にアクセスして、現在の場所や健康状態を掲示板に入力すると、保護者にメールが届くというシンプルなものです。
QRコードを使ったサービスはいくつもありますが、他サービスの場合、QRコードを読み込むと認識番号と事務局の電話番号が表示され、電話をしてその番号を伝える手間や、電話が繋がらない夜間などは、警察署に連れて行かなくてはならないなどの課題がありました。
「どこシル伝言板」は、保護者が個人情報に触れることなく、掲示板という24時間システム対応できる仕組みで動いている事と、特に、スマホのアプリや、複雑な画面を操作することなく、「画面をスクロールして入力するだけ」と勝手が難しくないのが特徴です。
利用には、初期費用、月額費用など不要で、布製ラベルを同社から購入するだけです。布製ラベルの価格は30枚セットで1,980円、50枚セット2,980円、100枚セット4,980円になるとのことです。
開発に至った経緯を同社代表取締役社長の堂本さんにお聞きしました。
「徘徊(単独外出)行方不明者が年間一万人と言われていますが、七割の方は当日以内に、三割の方は一週間以内に保護されています。ただ一部の方は残念ながら亡くなられたりしていますが、行方不明者の多くは保護された後、身元の確認に手間取っています。特に、警察の方も認知症サポーターの研修を受けられていますが、実際のところ初対面の認知症の方の対応が難しいという事実もありまして、そこをスムーズに解決する事が必要だと考え、サービスを開発しました」
警察の方も認知症対応には慣れていないので、保護から身元の特定までに、警察官がつきっきりになるなど今まで現場では苦労されていた点が、改善されるのではないかと言います。
「どこシル伝言板」は、事務局という管理者権限をみらい町内会以外に持ってもらう仕組みもあり、みらい町内会は事務局を市区町村などの現場に近い行政機関になって欲しいと考えているとのことで、お困りの地方自治体のご担当者の方はいかがでしょうか。
今回、一緒にお話をお伺いした、メディカル・ケア・サービス株式会社の新規事業チーム、日髙 立郎(ひだか はるお)事業開発部 部長、植田 元気(うえだ もとき)事業開発部 課長の皆さんは元民間介護最大手出身の方々です。新規事業チームというと、異業種との連携を考え自社とは他分野のスペシャリストで構成する企業もある中、一貫し介護の現場を知り尽くしたチームとなっています。
京都の老舗ケームメーカー任天堂でゲームウォッチなどを手がけた横井軍平が持っていた独自の哲学に「既存の技術を既存の商品とは異なる使い方をしてまったく新しい商品を生み出す」(Wikipedia 引用)、「枯れた技術の水平思考」という考えがありました。
「どこシル伝言板」をはじめとした認知症徘徊の情報共有サービスは、多くの方に知って頂き、使って頂くことが重要です。そのためにはコストを安くという命題も含まれます。
IT系サービス会社は、Bluetooth LEや無線LANを利用といった新しい技術でサービスを提供する方向に向かいがちですが、利用目的を「行方不明者の身元特定」に特化して、誰にでも使えるITサービスで設計できたのは、介護現場での問題点を知り尽くしたチームだからなのではないかと思います。
サービス名が示すように、仕組みは「QRコードを利用したインターネット掲示板」ですが、月額利用料など不要で、QRコードといった万人に認識されている技術を使ったことにより、警察や市区町村の行政機関をはじめ多くの方に存在を知ってもらい不幸な事故を無くしてもらいたいと思います。
現在提供している「IoT機器による生活支援サービス」は、各種センサーサービスと同社の介護サービスとを連携させているのが特徴です。介護サービス事業者として20年以上の実績と経験からセンサーサービスを目利きして、やさしい手の介護サービスと連携させながら提供するのが「IoT機器による生活支援サービス」です。
12月現在、月額400円の在宅見守りサービスと、月額1,800円の徘徊安否確認サービスの2つをサービス提供しています。
サービス提供で苦労されている点は何でしょうかとお聞きした所、やはり導入事例の少なさゆえ、説明がむずかしいとお話されます。ICTを利用した介護支援サービスは業界でもようやく認知されてきて市場は立ち上がったばかりです。 高橋さんも率先して、「今はちょっとでもご興味を持って頂けるご家族の方や、ケアマネさんに知って頂く為にどんな場所でもお伺いしています」とのことです。
説明にお伺いし、ICTに明るいケアマネさんからは「ああ、もう介護にこんなサービスが出てきたんだね。そんな時代だよね」などと言われる事もあり、実際ニーズはあるけどまだまだ知られていないと感じるそうです。
センサーサービスは点でしかなく「センサーサービスは介護サービスと連携して、在宅介護を面で支援できる」と言います。それを「おせっかいな隣人的サービス」とやさしい手は説明しています。
やさしい手は、基幹システムの自社開発にこだわるなど、積極的に利用者視点でのシステム化にこだわる社風であり、それがあるから、今回のように介護サービス事業者としては特異なことが出来ていると高橋さんは話します。
例えば、同社のリーダー職は全員、会社提供のスマホを貸与され、社内の各種プロジェクトや業務状況を積極的に情報共有されているとのことです。パソコンすら情報共有の為に積極的に利用している会社が少ない介護業界にとっては珍しいです。
それは香取 幹(かとり かん)社長のシステム化へのこだわりであると高橋さんは言います。どの業界でもそうですが、トップ自らがICT利用で積極的に情報共有をすすめる姿勢は、人間の慣習を変えるのが難しい中とても大事ですし結果、企業は情報化の恩恵を受けられます。
高橋さんはやさしい手での在職は11年とベテランです。前職はマーケティング業界、中でも主にITを活用していた会社からの転職とのことです。なぜこの介護業界に入られたのですかとの問いかけには、
「高齢者向けの肌着を作っている老舗メーカーの仕事を受けた時、作り手のこだわり。例えば生地の材質、ボタンの形状、縫い目など見えない部分に相手のことを考えてものづくりする姿勢に触れ感銘を受けました。ただそんな作り手のこだわりも、当時では顧客もネットにそんなにいないことや表現の難しさもあり中々ネットでは売れません。どうにかして売りたいと調べていくうちに介護業界の色々なことがわかり転職していました」といいます。
センサーメーカーなどの作り手にとって、高橋さん率いるやさしい手のIoTチームは、介護業界への入り口として相談するには最適な相手だと思います。それは、高齢者向け肌着の仕事をされていた時と同じように、作り手のこだわった商品を売りたいというマーケティング専門家ならではの視点も兼ね備えているからかもしれません。
メーカー各社の皆さん、今でも、積極的に新しいセンサーなどに出会いたいと言う高橋部長を訪ねてはいかがでしょうか。
ケアタイムズ新聞 やさしい手、IoT在宅介護支援開始。第一弾は月額400円の在宅見守りサービス
]]>クラウドファンディングとは、プロジェクトを開始する為の費用を調達する仕組みで、「コミュニケーション支援プラットフォーム 絆Ver2.0 for みまもり」は、目標とする調達金額を500,000円に設定し、プロジェクトの実現を目指しています。
このサービスでは、通常のボールペンと同じペン先をしたデジタルペンと専用のチェックシートを使うだけのサービスで、難しいデジタル機器の操作は一切不要となっています。
専用の機器を事前に設置しインターネットへの接続が完了しているだけで、離れて暮らす高齢者が毎日チェックシートに記録した内容が、事前に登録したスマートフォンや携帯電話、パソコンに送信される仕組みです。
チェックシートの回答項目も「体調はどうか?」「来客はあったか?」など、日々の生活の中で何か変化があったか分かるようになっていますが、何よりも毎日記入されているかを確認できる点が、離れて暮らす家族にとって最も安心なサービスになっています。
今回クラウドファンディングに至った経緯として、資金調達を目指している株式会社グローバル・コミュニケーションズは、「便利なデジタル機器が進化・普及しているが、高齢の方々にとっては操作が難しい。新たな負担にならずに日々の様子を知ることができるよう、物心ついたころから慣れ親しんできた”書くこと”で見守りサービスを実現できないか」という思いで、実現に向けて動いているとコメントしています。
すでにサービスの実証実験も終えており、本日時点でクラウドファンディングの締め切りまで後59日となっていますので、ご興味のある方は是非チェックしてみてください。
引用
]]>費用は初期5,000円、月額1,800円のレンタルサービスになっています。小型GPS端末は重さ約30gで、連続待受時間400時間のNTTドコモ通信モジュール内蔵ですので、スマホやパソコンなどで家族はいつでも位置情報の確認ができます。
GPSモジュールはIPX5相当の生活防水に対応していて、7,000円の「小型GPS専用ケアシューズ」を購入し靴底に格納することによりGPS内蔵のシューズにすることも可能です。さらに、やさしい手独自のサービスとして家族がスマホやパソコンで位置情報の検索が出来ない場合には、電話での検索を一回200円で出来るとのことです。
ITを活用した介護サービスはいくつも登場してきていますが、専門紙媒体もなく、せいぜいイベント会場でお試しする程度でしか比較検討する機会もありません。そのような中で介護現場からみたやさしい手の目利きとしての存在感は大きいと思います。
iPhoneなどを販売するソフトバンクモバイルはスマホ用アクセサリーなどを目利きし、品質と価格のバランスがとれたオプション品をソフトバンクセレクションとして販売しています。
やさしい手がセレクションする介護IoTシリーズは、介護時代のソフトバンクセレクションのように目利きが選んだサービスが集まりそうです。是非ほかの介護事業者も続いてもらいたいと思います。
GPSから位置情報の提供を行う生活支援「いまどこちゃんサービス」提供開始について
]]>セミナーは「医療機器開発 超入門 ~開発が決まったら、何する?~」と題しまして、主に医療機器業界への参入をお考えの方を対象にして試作品を製作した後の実証実験手続きや流れ、医療機器開発に必要な関連文書などの説明を実例を元に解説します。
清水美雪さんは医療機器メーカー大手のテルモにて17年間にわたり医療機器の開発などを手がけられた後、もっと地場力のある中小製造業などが医療機器分野に参入できるようにとコンサルティング会社、Medical Lab Partnersを創業しました。
セミナー開始時間は18時半からと終業後に参加できるようですし、医療機器でのスタートアップや第二創業にヘルスケア分野を検討している中小製造業のご担当者は参加を検討してみてはいかがでしょうか。
この実証実験では、「見守りクラウドロボ」を活用し、入居者が生活している居室に「人感センサ」と「温湿度センサ」などを設置し、センサに対応したユーザーインターフェースで、入居者の入退室といった生活状況をリアルタイムに確認することができます。
また「EUREKA」を利用することで、入居者が利用する通路内に設置したカメラより、入居者の顔を自動で認証し、入居者の危険を事前に察知することが可能となります。
このように2つシステムを組み合わせて利用することで、人の目だけで足りない点をIoTを活用して補完し、入居者の安否確認や見守りが必要な方のサポートを行うとしています。
実証実験は2016年1月24日まで行われる予定で、今後は証実験の結果をもとに、施設に入居している高齢者に加えて、在宅で生活する高齢者も対象とした安心、安全な社会を実現する見守りサービスの提供を目指し、実用化に向けた取り組みを推進する予定と案内されています。
引用
認知症患者の増加に対応した開放感のある施設づくりのためのクラウドソリューション IoTを活用した「見守りクラウドロボ」と顔認証「EUREKA」を組み合わせた「高齢者見守りサービス」の実証実験を開始!
]]>HAMOLOは2015年5月よりBluetooth LEのビーコンを利用したお年寄りや子供向けの見守りサービス「Kinsei (キンセイ)」を提供していて、ビーコンを5,500円で購入するだけ、月額利用料不要でサービスが利用出来ます。
「Kinsei (キンセイ)」の仕組みですが、まず最初にビーコンを購入していつも持ち歩くかばんや財布などと一緒に子供やお年寄りなど見守り対象の方に常時持ち歩いてもらいます。
次に、ビーコンを検知するために、周辺住民で協力してもらう方々自身のスマホにアプリをインストールしてもらいます。HAMOLOはこのような周辺の協力者のことをサポーターと呼んでいます。一方、見守りする方はスマホでサポーターのスマホが検知したビーコン場所を元に見守り対象者を確認するといった流れです。
今回の実証実験は、今までサポーターのスマホに頼っていたビーコン検知を駅に設置するビーコン読取機でやりますので、ビーコン検知の精度が劇的に向上すると思います。
過去にもBluetooth LE等の小型ビーコンとスマホを利用した見守りサービスは幾つかありましたが、周辺の利用者が専用アプリをインストールしないと、検知範囲が拡大しないという大きな問題がありました。
同様にKinsei(キンセイ)も、サポーターの数が増えないと有効な探索が出来ないという課題を、JR西日本など鉄道会社と協力する事により解決出来たのではないかと思います。まさに快挙です。
特に認知症の方を捜索するにあたり駅を利用したかどうかで捜索範囲が大きく変わりますので、お年寄りの見守りでの有効度が今回の実証実験により明らかになるのではないかと思います。ビーコンという新しい技術を、鉄道というインフラ事業で利用する。介護業界に参入しようと考える新興企業にとってもHAMOLOの取り組みは先進的であり朗報でもあります。
ちょうど同時期にHAMOLOは、米国ビーコン大手Estimoteとの業務提携を発表しています。Estimoteはシールタイプで軽量防水のビーコンなども米国で開発者向けに発売していて、HAMOLOは今回の業務提携により新ビーコンを来年3月に発売するとしています。バッテリーの持ちや防水性など取り扱いがまだまだ容易ではないビーコンですが、新製品に期待したいところでこちらも楽しみです。
JR西日本プレスリリース 安心・安全な街づくりをめざしてIT技術(ビーコン)を活用した「見守り位置検索サービス」実証実験を開始
]]>認知症の高齢者徘徊防止に一定の効果はあるものの、実用化に向けての課題も指摘されています。
今回の実証実験では、対象の期間に50~70歳代の男女計12人とその家族らが協力して行われました。
地域の商店や介護施設など11か所の公衆無線LAN装置を受信機として使用し、実験の結果システムは正常に参加者が通過したことを検知しました。
一方で、今回の実施実験ではNTT東日本の協力により11か所に無線LANの受信機を設置することができましたが、商用化を見据えると、受信機の月額1,500円という利用料が設置場所への重荷になります。
また、発信機のコストも従来のGPS製品よりは安価なものの、約5,000円という製造コストが課題とも、今回の報告内で指摘されました。
しかしながら、過去にケアタイムズ新聞が鶴岡高専に取材を行った際には、「評判が良かったら、実証実験終わりですって簡単には止められないですよね」と力強く語られていましたので、今後も「さかた見守りくん」から目が離せません。
ケアタイムズ新聞 - 認知症による徘徊の不明者防止へ、酒田市で「さかた見守りくん」の実証実験
ケアタイムズ新聞 - 取材記事:鶴岡高専の協力で生まれた認知症徘徊防止サービス
引用
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