デジタルヘルスコネクトとは、インフォコム株式会社が運営するICT事業者と医療介護事業者をつなげて新しい産業を起こそうという活動です。ディレクターを務める原田 久(はらだ ひさし)さんと同じくキャプテンの栗山 康明(くりやま やすあき)さんにその取組みをお聞きしました。

"原田さんと栗山さん"

老舗企業が取り組みつづけた未来事業という分野

運営母体のインフォコムは大手総合商社、日商岩井(現在は双日株式会社)の情報システム部門と通信事業部門が、同じく大手繊維メーカー帝人の情報システム部門子会社と合併して出来た会社です。インフォコムの筆頭株主は帝人ですが、帝人といえば子会社の帝人ファーマが睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療器レンタル事業や在宅医療機器などを手掛けるなど医療、介護業界でも存在感があります。

インフォコムがデジタルヘルスコネクトを立ち上げた理由は、ICT事業者が参入するには中々ハードルの高い医療介護業界への水先案内人を務める事と、両社のつながりを作る事と言います。さらに最近では、大手介護事業者のソラスト株式会社に出資するなど、介護業界にも積極的な事業展開を進めています。

かつて親会社の帝人では中核の繊維業界から多角事業化を推進する為、50年先の事業を見据えた「未来事業本部」という部署がありました。1970年代に始めた医薬事業もそんな事業企画の1プロジェクトで50以上の新規事業が創出されました。デジタルヘルスコネクトにはそんな先人が歩んできた「未来事業本部」のDNAが宿っているのではないでしょうか。

"インフォコム 原田さん"

チーム3人が専門分野ではないからこそ人との出会いが全て

ディレクターの原田さんは通信キャリア向け担当部署、同じくキャプテンの栗山さんは大手企業向けITシステム導入部署と、社内でも特に医療介護分野に精通しているわけではありません。だからなのか新しい事業展開を考えているヘルスケア企業に出会い話を聞くとき、楽しく無邪気に聞けるとも言います。

「話を聞いた帰り道にはいつも自分自身が興奮します」とは原田さん、栗山さん共通の言葉です。インフォコムのようなITシステム導入会社の強みは人柄と人の話を聞く力と言われますが、必然的に介護や医療が得意なメンバーではなく話を聞く、とりわけ「未来を聞く」ことが好きなチームになったのでしょう。

"インフォコム 栗山さん"

介護向けITサービス コンテストを開催、ソラストでの実証試験

デジタルヘルスコネクトでは、出資先のソラストと共催で介護系サービスのコンテストを開催しています。選定されたサービスはソラストとの実証試験、さらに賞金として総額100万円がもらえます。

IT系サービスコンテストの中には、事業内容に関して、主催者側の細かいフォーマットを埋める必要があるものも少なくなく、中には三年先までの事業計画提出を求めるものまであります。デジタルヘルスコネクトはサービスの概要を箇条書きに記載するだけと簡単にエントリー出来ます。

その理由は多くの夢に出会いたいからと言います。デジタルヘルスコネクト事務局は現在3人、既に60社を超える会社に出会い話を聞いてきました。出会ったヘルスケア事業者が希望すれば、スタートアップディレクトリーとしてデジタルヘルスコネクト内で事業紹介もしています。

あと、IT系サービスコンテストと違い今回実際ご利用頂く介護事業者としてソラストの存在も大きいです。B2B(事業者)向けサービス開発で、コネやつながりがない場合は本音での議論も出来ませんので、ここは有効なのではないかと思います。

高い志や思いを持った人と出会いたいからコンテストをする。デジタル時代の未来事業部から、どんなサービスが発掘されていくのかコンテスト結果と50年後が楽しみです。

"デジタルヘルスコネクトコンテスト"


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