昨年以降、スマホに連動したICT機器などを活用したヘルスケアサービス事業が盛んになってきました。そんな中、普段使わない筋力を使うことにより緩やかに体質改善が出来るICT機器を使わない昔ながらの健康器具がクラウドファンディングに登場しました。今回はその仕掛け人、インスパイア株式会社の代表取締役社長の古島 啓裕(こじま たかひろ)さんと鍼灸治療院 えびでんすの院長、今泉 浩司(いまいずみ こうじ)さんのお二人にお話をお聞きしました。

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二人のチームが作り上げた「手足の指に挟んで回すだけ」の健康方法の専用器具

「ジムに行っても動かせる筋肉は決まっています。普段動かない場所を動かすのが重要なのです」と語る今泉院長は、鍼・灸・指圧の業界に入って15年、独立して9年の鍼灸師です。治療延べ人数は20,000人を超すベテラン鍼灸師です。

一方、古島さんは独立創業して4年、独立前は携帯電話のコンテンツを手がけていたインデックスに入社、一貫してIT関連のプロジェクト畑を歩んできました。その後、長男として実家の老舗法衣店を継ぐために退職、家業を継いだあとも昔のご縁でプロジェクト単位でいくつか声をかけられていく中、家業とは別にインスパイアを創業しました。

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そんな今泉さんと古島さんお二人の出会いは治療でした。普段背中が張るなどから健康に気を使っていた古島さんは知人から今泉さんを紹介してもらい初診を受けました。翌日身体が軽くなったという体験からしばらく定期的に通い続け治療を受けている時、今泉さんから「こんな健康器具を考えている」という話が出てきた際に、古島さんは「一緒に事業化しましょう」という流れになりました。それがお二人の製品「ほぐセル」です。利用方法は「ほぐセル」を手の指(足の指の間)に挟んで、手首(足首)を支点に、ゆっくりと大きくグルグル回すだけです。

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製品開発といっても、普段治療院の営業は夜21時まで、日々患者さんの治療に没頭しがちな性格の今泉さんは、在庫管理や広告宣伝などやったことはない事、面倒くさいことはやりたくないですよとの言葉に、企業ニーズに合わせ数々のプロジェクトを立ち上げまたは参加してきた古島さんは、そこは得意分野ですと答えました。早速ソニーの井深大さん、盛田昭夫さんのように製品企画とマーケティング販売とで分業体制が出来ました。

その後、古島さんが生活しているシェアハウスにいた薬剤師、クリエイティブプランナーの方から協力やアドバイスを得ながら、国内最大手のクラウドファンディングサービス「Makuake」に出品したところ、開始32日で目標金額を達成、さらに現在も追加の出資を募って現在も快進撃中です。クラウドファンディングでの価格は2個セット税込み3,402円で販売中です。

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継続して使ってもらうのが重要と講習会も開催

予定では「ほぐセル」製品出荷は今年の8月。古島さんがネットで調べ何度か足を運んだ末に選定した大阪の製造メーカーで量産を開始することになっています。クラウドファンディングで募ったお客様に出荷した後は、ネット経由や東急ハンズなどのような健康器具を扱う店頭でも販売したいと考えています。

それにプラスし今泉さんはただ販売するのではなく器具の正しい使い方を学び継続して利用してもらいたいので使い方の講習会を開催したいと言います。特に便秘の解消など、体質改善するには正しい改善を積み重ねていかないと元の体質に戻ってしまいます。とくに筋肉のつき方や姿勢が変わっていく事、そこが重要といいます。そんな考えがあるのも、今泉さんが設立した治療院名の由来は「治ったという証拠を集めたい」という気持ちを込めて、えびでんす(エビデンス、証拠・根拠という意味)とした経緯があるからでしょうか。

今回のような事業化はネットの利用を最大化、とりわけ試作や販路もスモールスタート出来たのはクラウドファンディングなどのサービス活用も大きいですが、今泉さんのような専門家と、古島さんのような情熱を持った実務家が出会い、お互いの専門性を尊重し会いながら、時に議論をしつつ成功に歩めたのはお話しても感じるお二人のお人柄なのかなと感じました。組織の雰囲気は創業者が創ると言われますが、このような起業家の皆さんがより多く輩出され解決すべき課題の多い介護・医療業界の活性化につながっていって欲しいと思います。


Makuake 延べ20,000人の治療から生まれたエクササイズのサポートアイテム「ほぐセル」

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